ドライストーンウォール(メイキング編)

attermire
イギリスのヨークシャーには石灰岩層が露出しているエリアが
数多くあります。

トップ写真は
ドライストーンウォーリング(石灰岩の石壁作り)の
現場に行く途中の風景。
積み重ねただけなのに何百年もほぼ変わらぬ姿を
とどめているヨークシャーのドライストーンウォール。
今回はそのメイキング編です。

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この日、集まったのは
ヨークシャーデイルズ国立公園レンジャーの
デイビッドとスティーブ
そして
ボランティア仲間の長老キースとマーガレット。
場所はヨークシャーデイルズへの拠点となる町
セトルSettle(北イングランドの中心都市リーズより
A65経由で約1時間半)から車で15分、
それから30分以上登った山の上。

キースとマーガレットのお二方は
見た目とっつきにくそうですが、実際そうです(笑)。
いや、でも心根がとても優しい人たちで、ヨークシャーや
ヨークシャーデイルズに関して並外れた知識の持ち主。
いつもお世話になってます。

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まず、崩れかけた壁をいったん解体してしまいます。
そして少し掘ってから土台にする大型の石を敷いていきます。

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土台ができたらいよいよ石を積んでいきます。

いくつか留意点があるのですが、中でも肝心なのは
*壁の表に平らな面が来るように、
 あらゆる角度から石を見回して、ふさわしい面を見つけ出す。
*壁の強度を高めるため、石と石の継ぎ目(縦の線)が
 交差するよう(アミダ状になるよう)に積む。
の2点です。

言葉にすればこれだけなのですが、レンガと違って
石の形状はひとつひとつ異なるわけですから、
実際は簡単な話ではありません。
ミュージシャンがここにはこの音が来なければ、
また、画家がここはこの色しかありえない、
と考え抜くように
ここにはこの石でなければならない、
と選んでいくわけです。

土台の石もそうですが、
元々使われていた石がフィットしない場合は、
新たな石を求めて探し回ることになります。
運良くすぐに見つかる場合はまれで、
たいていは土中から少し頭を出している石灰岩を掘り出し、
それを壁まで運んで当てはめ、ダメならまた探す、
を何回も繰り返します。
このドライストーンウォーリングは私が好きな
ボランティア活動の1つ。
羊の鳴き声か風の音ぐらいしか聞こえない環境の中で、
太古の生物を起源として生成された石灰岩の塊をジッと
見つめながら作業していますと、
時間軸が歪んでいく感覚に襲われます。
意識、飛びます・・・。
いや、でもこれは半ば真面目な話。
少なくとも日頃のストレスなどからは解き放たれます。

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壁の内側は細かい石で埋めていきます。
そして最後に大型の石をコーピングストーン(笠石)として
並べて乗せれば壁は完成です。

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この笠石によって上から押さえつけられるため
壁の強度が増すわけです。

壁の長さは3m弱でしたが5人がかりでほぼ一日かかりました。
キースからこの壁はあと数百年は持つだろうとのお墨付きを
もらいました!

May 2007

コメント

  1. フェリママ より:

    なるほど、謎が解けました。
    いつも「どうやって作るのかなぁ?」とか「どれ位時間がかかるのかなぁ?」と思っていたので。。。
    土曜日Helmsley近郊でも石の壁を修復している人を見かけました。
    「きっと田舎歩きさんもこんな感じでボランティアしていらっしゃるのかな?」と思っていたところです。
    結構根気がいりそうですね。パズルが苦手な私には無理かも。。。

  2. 田舎歩き より:

    >フェリママさん
    たしかにそうですね。正解のないジグゾーパズルみたいなもんですからね。
    ボランティア仲間の内でもウォーリングを不得手としている方は
    少なくないですよ。
    一方、好きな人は・・・・・
    みんな極端に寡黙になって壁作りします(^^;

  3. あゆば より:

    勤務先にイギリス人のお客様がいらして、「リーズ」出身だとおっしゃっていたので検索させていただきました。
    気持ち良さそうな写真が印象的ですね。
    私はカンタベリーに行ったことがあります。
    ネス湖も綺麗で神秘的でした◎

  4. 田舎歩き より:

    >あゆばさん
    カキコありがとうございます。
    カンタベリーやネス湖には訪れたことがあるとのこと。
    今度はヨークシャーにもぜひいらしてくださいね。
    今後も拙ブログよろしくお願いします。

  5. フラ・リッポ・リッヒ より:

    ボランティアかあ・・・
    えらいなあ しかも1日 すごい
    素晴らしい自然の中で
    なんかトリップしそうですねえ
    ドライストーンウォーリング
    僕はたぶんこういうの大丈夫だなあ

  6. 田舎歩き より:

    >フラ・リッポ・リッヒさん
    カキコありがとうございます。
    いつかぜひ一緒にトリップ、いやドライストーンウォーリングしましょう!

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