エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」のインスピレーションの源と言われる
トップ・ウィズンズTop Withens まで今年も独りで歩いてきました。
毎年、この時期になるとヒースの花を見がてら歩いているのですが
今年はハワースHaworth に出向くのが少し遅かったので
ヒースの花はもう終わっているかもと案じていたのですが
まだまだハワースのムーア(荒れ野)は赤紫に染まっていました!
今回もスタート地点は Penistone Hill。
ガイドブック等にはほとんど紹介されて
いないと思われますが
ハワースの町から車で数分のところにあり
たいてい駐車スペースが空いているので
車でこちらにみえる方にはお薦めです。
何よりも車を降りれば
眼前にヒースの野が広がっているので
「さあ、歩くぞ!」と気分が一気に
盛り上がります。
ウォーキングルートとしては
イージーのカテゴリーにランクされているのですが
少なくとも往復4時間くらいはかかるので
この盛り上がりが大事です^^
過酷な気候にさらされているためか
道標は錆びついていて判読が難しくなっていますが
To
TOP WITHENS
AND
BRONTE
WATERFALLS.
と書かれています。
ヒースの間を縫うように続くフットパス(公共の小道)を
しばらく歩いていきます。
ヒースの野を通り抜け、メインのフットパスに
合流してしばらくしたら
帰路のファミリーとすれ違いました。
写真上部の真ん中の遥か彼方に
点のように見えているのが
目的地のトップ・ウィズンズです。
フットパスは再びヒースの野の中に。
このストーンウォールを越えた辺りで
トップ・ウィズンズに近付いているのを実感します。
写真はブロンテの滝とブロンテ・ブリッジ。
日本の滝を思い描いていると
拍子抜けするかもしれませんね。
ここでブロンテ姉妹はよく遊んだと言われています。
遊びながら幼い彼女たちはどんなことに
思いを巡らせていたのでしょうか?
この地点までだいたい1時間くらいで
水辺ということもあって少し休憩するのに
ちょうどいいスポットです。
子供連れはここで遊んで引き返す場合が多いようですね。
たしかにこの先は子供にとっては勾配がきつくなるし
「嵐が丘」ゆかりの云々に興味がなかったら
面白くはないかも。
さあ、トップ・ウィズンズまであと1マイル。
しかし、毎回思うけれど「歩道」って(笑)。
ご覧のとおり、ここにあるのは小説「嵐が丘」に
出てくるようなお屋敷ではなく、小さな農家の廃墟。
それも壁が残されているだけ。
特長といえば周りに何もない荒涼とした
丘の上(標高400m強)に
ポツンと建っていることくらいでしょうか。
とはいえ、個人的にはここで疲れた足を休めて木陰で目を閉じていると
さまざまなバージョンの映画やTVドラマの
「嵐が丘」で見たシーンの数々が浮かんでは消えていきます。
頭の中で鳴っている音はもちろんケイト・ブッシュ↓
ここのところ北イングランドは冷たい風が吹き始め
肌寒くて暖房を入れることもあります。
風が吹いたときのトップ・ウィズンズは
それこそジッとしてなどいられなくなりますけれど
幸い今日は風は止んでいたので
しばらくトップ・ウィズンズで
身体も心も休めることができました。
私がこの地に住み着いた10年間
トップ・ウィズンズはその佇まいを少しも変えていません。
果たして私はこの10年間で…
帰路で見かけた反対側のヒースの丘を下る人たち
里に下りてすれ違った
これから歩きに向かう二人
もうあと一週間もすればヒースの花は咲き終え
短い北イングランドの夏の終わりを告げます。
2010 年 8 月 30 日
追記
小説「嵐が丘」には
Peniston Crag (邦訳では「ペニストンの岩山」)が
何度も出てきます。今回のスタート地点の
Penistone Hill と関連があるかもしれませんね。
コメント
おぉ!!!!!
待ちこがれてました☆★☆
髪が風でみだれるのを何とも思わず、キャシーが急ぎ足であちこちに表れては消えるのが見えるような館と荒野ですね。
今年は見逃したけど,いつか絶対この地で彼女に会うぞ!(^-^)
名前のとおり「嵐が丘」って感じですね。ここはやっぱりKate Bushですよねぇ!
もう暖房なのですか。こちらは猛暑で大変です。ここ113年で一番暑いのですよ。あまり暑すぎて最高気温34℃だと少し涼しい気がします。ずっと36℃37℃でしたから。
また懐かしく涼しい写真を期待しております。
>miholicさん
ですよね。小説や映画などの「嵐が丘」に
親しんだことがある者にとっては
ここはイマジネーションを大いに駆り立てられます。
風が吹き出しますとそれどころじゃなくなりますけれど(笑)。
いつかぜひ!
>akanat さん
ケイト・ブッシュの「嵐が丘」は30年以上も前の曲なのに
今聞いてもインパクトある名曲ですよね。
あらためて彼女は「孤高な存在」だと思い知らされます。
北イングランドはまだ「So, Cohohohold」に至ってはいませんが
木の葉はもう色を変え始めていますよ。
お久しぶりです。
私は6月末についに帰国して、UKの倍ある日本の猛暑に体が適応せず苦労しておりました。。。
私も「嵐が丘」は小説、歌、DVDなど共に大好きです。
初めて小説を和訳で読んだとき、住み込みのメイドさんの飲む自家製ビール?とか素朴なパンとか、どんな味なんだろう?食べてみたいなぁ。。。と思っていました。
英国に住んでいる間に一度ゆっくりフェリックスを連れて歩きたかったなぁ。。。
懐かしいですね、ピンクの絨毯。わたしが歩いた時は人があまりいなくて心細かったことを思い出します。
日本はどこに行っても人がわんさかいますからね。
名古屋はもうここずっと体温以上の暑さで外を歩くのが怖いです。
早く涼しくなってウオーキングを楽しめるようになりたいです。
>フェリママさん
お久しぶりです。よくぞブログ更新に気づいていただきました!
ありがとうございます。
もう帰国されていたのですね。充実した英国生活を送られた
ことと思います。
将来また英国にお越しになることがあると思いますが
そのときはフェリックス君と「嵐が丘」を歩いてみてくださいね。
>うまとしさん
ご訪問ありがとうございます。
私も初めてここを歩いたときは
人と会わない時間が長くて不安を感じたものですが、
今では視界に人が入ってくると少しムッとしてしまいます^^
11月にヨークシャの友達を訪ねて旅行を計画していますが、「嵐が丘」を読んでビデオも見て・・・キャッシーに会いにいきます。
>ヒデミチさん
ご訪問ありがとうございます。
11 月は良きにつけ悪しきにつけ
これぞヨークシャー、ってな感じの天候に
遭遇するかもしれません。
でも、それも含めて楽しんじゃってくださいね。
ヒースを見たくて 8月に行こうと思っていましたが、旅行社によると蚊が多い」とか。
悩まされるほど、多いのでしょうか?
ベストシーズン& 蚊の対策を 教えてください。
>Yokoさん
ヒースの見頃は8月中旬過ぎです。
蚊対策には蚊予防スプレーかクリーム、
または長袖着用をお勧めします。
今から20年前、嵐が丘のヒースの丘に観光で行きました。なつかしーいで~す。ゆっくり時間のある時、あなたの歩いた丘の風景をこの画面で見せて頂きます。ありがとう、照会して下さって