ブロンテ姉妹の村 ハワースHaworth

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ハワースの石畳のメインストリート
ハワースは前の記事で紹介したヘブデン・ブリッジから
車で10数分の位置にあります。

ハワースはブロンテ姉妹が生まれ育った地でなければ、
おそらく誰も訪れることがなかったであろう、
ヨークシャーのムーア(荒れ野)の中の小さな村。
しかし現在はブロンテ姉妹の足跡を辿って世界中から
観光客が訪れ、観光シーズンになると日本からも
たくさんの人が訪れます。
ハワースは観光に大きく依存しているので仕方ありませんが
標識や看板に日本語で「歩道」や「民宿」などと
書かれているのを目にすると複雑な気持ちになります。

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ブロンテ博物館Bronte Parsonage Museum
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ブロンテ一家の遺品の数々が展示されています。
ブロンテ姉妹が着用した衣服や靴は驚くほど小さくて
小学生の低学年用くらいのサイズ。
メイビス(以前「お隣さん」で紹介)に聞いてみたところ、
当時のヨークシャーの人たちはみな小さくて、
ブロンテ姉妹だけが特別小さかったわけではないそうです。

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ブロンテ姉妹の父親が牧師を勤めていた教会

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ブロンテ姉妹が生きた19世紀は、
厳しい自然環境や劣悪な衛生状況のため、
多くの村人が早死にしました。
「嵐が丘」を書いたエミリー・ブロンテも風邪から結核を患い、
1848年の冬に30才の若さで亡くなっています。

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この時期に、冬のことを話題にするのもなんなのですが、
「嵐が丘」を訳した翻訳家の河野一郎氏が著書の中で
ヨークシャーの冬について次のように描写しています。

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エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を訳したとき、
それだけはやめろという同僚の英国人の忠告を無視し、
150年前にブロンテ姉妹が味わったにちがいない
冬の厳しいヨークシャー生活を体験してみようと、
10月から翌3月までLeeds大学に籍を置き、
観光客の姿もない吹雪のHaworth村を毎週のように
訪れました。

もし「嵐が丘」を私の訳で読まれ、寒々とした冷気を
感じられたとすれば、それは真冬のヨークシャーの寒風です。
現地に着いた翌日、日本から持っていった折り畳み傘を
たちまち吹き飛ばしてしまったみぞれまじりの寒風です。

河野一郎、「翻訳のおきて」、DHC、1999年、174-5貢
>>>

河野氏のすさまじい翻訳家魂もさることながら、
ヨークシャーの冬の様子が伝わるのではないでしょうか。


ここ数年は温暖化の影響か、
ブロンテの時代ほどの厳しさはないのですが、
それでも冬は曇りもしくは雨の日が何日も続き、
さらに台風並みの突風が吹き荒れる日が少なくなく、
実際、大型トラックが横倒しになる、
倒木によって家屋が崩壊する、
などの被害が出ます。

ゴウゴウとうなる風の音を、寒い夜にベッドの中で
聞くのは不気味なものです。

また、冬は日照時間が極端に短くなり、
例えば、クリスマス時は朝の8時過ぎにやっと
明るくなり始め、 午後4時でもう真っ暗。

逆に夏は、午後10時近くまで明るく、
表に出ると涼風が流れ、すこぶる快適なのですが、
今年は例年以上に雨が多く、
ヨークシャーの夏の特権を楽しむことが
未だできていません。

今年はこのまま夏らしい日を迎えぬまま、
夏が終わってしまうのではないかと少し案じています。

コメント

  1. フェリママ より:

    ブロンテ姉妹ゆかりの地は、是非近々訪れたい場所のひとつです。もちろん夏にね!
    それにしても今年の記録的な多雨には参りましたね。。。
    日が長く穏やかな天候のこの時期に、ケンブリッジ大学のコレッジのお庭で上演されるシェイクスピア・フェスティバルも、夕方のお天気の様子を見ながら「行くべきか、行かざるべきか、それが問題だぁ・・・」
    という感じです。(*^。^*)

  2. 田舎歩き より:

    >フェリママさん
    カキコありがとうございます。
    この天気で野外劇ですとホント
    「行くべきか、行かざるべきか…」ですよね。
    ハワースを訪れるのでしたら、8月中旬が
    お勧めです。
    ムーアが赤紫のヒースの花で覆われ
    見事な景色が楽しめますよ。

  3. りぃ より:

    私は運良く8月のハワースを訪れることができました。レトロな?電車に乗って、駅から急な坂道を歩いた記憶が…。やはり壮大なムーアの景色がお勧めですね。
    でも秋や冬の寂しい景色も個人的には好きです。
    今年のイギリスは多雨なんですね。嫌気がさしてギリシャとかスペイン等へバカンスに行く人も多いんでしょうね~。

  4. 田舎歩き より:

    >りぃさん
    カキコミありがとうございます。
    そうですよね。見渡す限り赤紫に染まるムーアは壮観ですよね。
    私はその時期になると、
    「嵐が丘」の舞台のモデルと言われるトップウィズンまで、
    ムーアの中を歩きます(片道2時間)。
    以前、ハチの大群に襲われて往生したことがありますけれど・・・。
    昨日は久しぶりに青空が広がったのに、
    今日はまた雨音で目が覚めました。
    本当の雨が良く降りますよ、今年は。

  5. ドウ より:

    はじめまして。
    もうすぐハワースを訪れるのですが、
    雨が怖いです。
    文章、素敵ですね。
    河野氏の引用も、頷きながら読みました。
    読んでいて、田舎歩きさんと友達になりたくなりました。

  6. 荒野一人 より:

    田舎歩き様、素晴らしい文、お写真有難うございます。私の長年の夢はハワースをいつか訪れることです。特に興味が有るのは3月のmoor hoobble(ブロンテ姉妹が愛した荒野を夜中から歩き始め完歩のみ目的、)この3月の夜中の散歩は募集みたいなことがあるのでしょうか?とても、寒いと思いますがわくわくします。

  7. シャーロット より:

     こんにちは。昨年ハワースを訪れました。お写真を拝見し、昨年をなつかしく思い出しました。
     8月のハワースに1週間滞在しましたが、毎日必ず雨が降っていました。シャーロットが憂鬱になるのがよく分かりました。
     私も冬のハワースを見てみたいです。

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